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【モデル界裏話ストーリー】「タイトルなんてどうでもいい。」1日目 美女たちとのご対面

2020年3月30日

90日海外モデル契約

目次

1日目 美女たちとのご対面

 

海外のモデル事務所から契約を頂き、引っ越すことが決まった。

私がずっと夢に見ていた、海外でのモデル業。

「あんた、無理しすぎたらあかんで!

しっかり食べるんやで。」

関西人の母は心配しながらも、いつも通り私の決断を前向きに受け取り、応援してくれた。

海外で活躍するモデルになりたい。

デパートの店頭に大きく飾られているモデルの写真を眺めながら、私は夢を膨らませていた。

大学生活終盤に差し掛かり、関西と東京を行き来しながらモデルをしていた私は、9ヶ月ほど各国のモデル事務所にメールを送り続け、念願の契約を獲得した。

モデルの海外契約は基本90日間。

一般職海外駐在の赴任期間の平均が3年ということを考えると短すぎるが、キャリア寿命が短いモデル業では3ヶ月の契約期間中に結果を出さなくてはいけない。

アメリカの大学にもともと行っていた私は、帰国後大阪の大学に2年遅れで入学したため、卒業の時点で既に24歳。

アラサー目前で、早くモデル業に専念したい気持ちでいっぱいだった。

100社ぐらい応募したのかな。もっとかな。

世界中のモデルが各国の事務所に応募するため、契約獲得の競争率は非常に高い。

選考は全てオンライン。

写真選考、スカイプ面接を無事に合格。

ビザ発行のために大使館に何度か足を運び、資料が足りないとか何とかで無駄に往復し、やっとのことでビザを取得。

窓口で資料が足りていないことを指摘された時のあの絶望感…

可愛くお願いしてみたけど、呆気なく追い返されてしまった。

モデルパワーは流石に大使館では効かないみたいだ。

ビザ取得後5日目の航空券を事務所に取ってもらい、出国準備が完了した。

これで私の思い描いていた夢に一歩近づける。

 

*****************

出発当日、合計10時間の長いフライトを経て無事契約先の現地の空港に到着した。

初めて行く国。初めて訪れる空港。

スーツケースを片手に持ちリュックを背負って、右も左も分からないまま、空港の出口まで進んだ。

外に人がずらーっと並んでいるのが見える。

外は晴れていて出口を出た途端、体がむ~んと暑い熱気に包まれた。

日本から持ってきたジャケット、きっとこの90日間使うことはなさそう。

「本っ当に誰も迎えに来てくれないんだな…笑」

事務所側からドライバーが派遣されることはなく、特に到着確認の連絡もきていない。

異国の地で大学卒業して間もない女が1人、ゴロゴロとスーツケースを転がしながら、事務所から事前に送られてきた契約先アパートの住所を携帯で調べる。

「スカらだーシュートら…くーばん……イン」

読むことすらできない住所を何とかドライブアプリに入力。

携帯のシムカードは事務所から貰うから、空港のWi-Fiが届くぎりぎりの範囲まで外に出て、

車が迎えに来るのを待っている間にマネージャーに着いたことを連絡する私。

近くにはタクシーが並んでいて車の前に立っている現地のおじちゃんたちが

「タクスィー!タクスィー!」

って頑張って私に叫んでるのを完全に無視して、ドライバーが到着したみたいだからアプリ上で電話がかかってくるんだけど、

まぁ電話越しの異国の言葉は何言ってるかさっぱりで。

電話越しじゃなくてもさっぱりだけども。

アプリ上に書かれたナンバーの車を無事見つけ、運転手が私の荷物をトランクに入れてくれた。

極端に方向音痴な私が、誰の助けも借りずにアパートまで辿り着けるのか。

まぁ私は車に乗ってるだけなんだけども。

そもそも入力した住所が合ってるのかすらも分からないけど、とりあえず長いフライトで疲れ切っていたから車に乗りこんだ。

窓から見える景色は新鮮で、

おーーーー

海外に来たんだーーーー

ってその土地独特の街並みを見渡してテンションが上がった。交通量も多く街が活気に包まれている。

1時間ほど運転し、目的地に到着。運転中にすっかり外は暗くなっていた。

事前に日本で両替したお金で運転手に支払いをするんだけど、現地のお金がさっぱり分からないからやたらとモタついて、

見かねた運転手が、それそれ!

って手に持ってるお金を指さしてくれるんだけど、手一杯にお金持ってるから彼がどれを指さしてるかも分からなくて、

最終的に

どうぞ!好きなの取ってください!

ってトランプのババ抜きみたいになってて、

「うーんじゃあ今日はこれにしようかな~」みたいな顔で彼取ってた。

ぼったくられてないことを祈りたい。

車を出てすぐ、やたらと目立つ欧米美女が目に入った。

美女:「今日来る予定のカリナ?」

私:「そう〜はじめまして〜」

ブロンドのロングヘアで青い目、かなり若そうな美女。

そしてほっそい。とりあえず細い。ちゃんと食べているのか。

そういえば、私この前出会った女性に全く同じことを言われた気がする。彼女はこういう気持ちで言っていたのか。

目の前に立つ、ザ・海外チックなアパートに入って古びたエレベーターに乗り、美女がスーツケースを運ぶのを手伝ってくれた……

のはいいんだけど彼女の細い腕が折れそうで見ているこっちが怖い。

部屋に入ると他の海外モデルたちがリビングでくつろいでいた。

お~美女たちの迫力がすげぇ。

この子たちもみんな私と同じように海外から短期契約で派遣されたモデル。

事務所が手配してくれるモデルアパートに、他のモデルと一緒に住むことは事前に知らされていた。

一人はラテン系の見た目をしている。色白の肌で目と髪はダークブラウン、気の強そうな感じに見える。南米系かな。南米美女独特の超セクシーな体つきをしている。筋トレしまっくてるんだろな。

もう一人は似たような特徴のルックスだけど、目はグリーン。ベビーフェイスまではいかないけど、ソフトな顔立ち。

自己紹介をし、軽く会話を交わした。気強め筋トレ美女はベネズエラ人、ソフトフェイス美女はブラジル人らしい。ちなみにアパートの下まで迎えに来てくれた、がりがりと言うかひょろひょろブロンド美女はロシア人。

ソフトフェイス美女もつい数日前に来たらしくて、私と変わらず新人。

美女たちも、どんな子が来るのかと思っていたみたいでその緊張感が伝わってくる。

きっと、私が問題児ではないようにって願ってたんだと思う。

見渡した感じこじんまりとしているアパート。

ひょろひょろブロンド美女 :「カリナは私と同じ部屋。こっちだよ。」

いい部屋でありますように…トイレは綺麗でありますように、って考えながら部屋に進む私。

短い廊下を進み、ドアを開けてくれた。

おー…。

なるほど…。

8畳ほどの部屋にベッド2つとクローゼットが2つ… 超シンプルな部屋。

スーツケースを広げたらなかなかの狭さになりそう。バス・トイレももちろん共同。クオリティーは……

2つ星ホテルぐらいかな。

「モデルアパート」。

聞いた感じとても華やかな印象を抱かれるけど、現実はま〜真逆。

1人部屋なんて贅沢なものはまず無い。

駆け出しのモデルが避けされないのがこのモデルアパート共同生活。

なんだけど、もともと集団行動が非常に苦手な私。

自分の空間がほしいタイプだからアメリカの大学時代の寮生活はストレスで禿げそうだったし、気を遣いすぎてよく体調をくずしていた。

早速スーツケースを開けて中のものを自分のクローゼットに仕舞い込む。

ロシア美女は気を遣ってかただ気まずくてか、私が作業中1人にしてくれた。

やっとのことで全て仕舞い込み、美女たちが騒いでいるリビングに再度顔を出した。

どこかに行くみたいでみんな支度をしている。

ソフトフェイスブラジル美女「今からクラブ行くんだけど、カリナどうする?」

私「私は今日はゆっくりしよかな~」

初日からいけるかいな。

って思ったんだけど、聞いたところモデル契約に慣れている子の場合着いたその日から遊びに行ってる子も多いらしい。

お腹がペコペコだけど、何がどこにあるのかも分からないし、夜遅いし外の治安の良さもイマイチ分からない。

筋トレベネズエラ美女「お腹すいたでしょ?これしかないんだけど、食べといていいからね~!」

そう言ってバナナを渡してくれたベネズエラ美女。なぜ私は日本から何も持ってこなかったんだ…。

みんながピチピチのドレスを着て、ナイスボディーを更に際立たせ、化粧もばっちしして、美女たちが更に美女になった。

遊びにいくところを見送って、みんなが出かけてくれたことで少し緊張感がほぐれて内心ほっとした。

晩御飯のバナナを食べ終え、くたくたの中寝る支度をし、再度ベッドに横たわった。

寝れない…。

長旅で疲労はマックスのはずなのに、初めて来る国で知らない海外モデルたちに囲まれて、アドレナリンもマックスなのか目もばっちし冴えている。

寝返りを打って、家族グループラインに無事到着したことを伝える。

私の90日間の海外モデル契約はこうして幕を開けた。

 

モチベーション   

★★★★★★★7

ピュア度

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★35

空腹感

★★★★★★★★★★10

このストーリーは実話に基づいています。

次のお話↓
タイトルなんてどうでもいい。 2日目 力尽きるスリーサム男

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