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MODEL STORY

タイトルなんてどうでもいい。18日目:自由気ままなラテン侍

2020年4月19日

海外モデル契約90日

18日目:自由気ままなラテン侍

今日は幸いオーディションもなく、昨日到着したばかりの私は比較的ゆっくりできる日だった。

午後、同じ部屋のエキゾチック美女とメンズモデル最年長のダンディーが買い物に行くと言うから一緒に付いて行って、

アパート付近を軽く案内してもらい、生活に困らない範囲の情報を得る私。

優しい顔つきをしている欧米人のダンディーは性格も優しく、明るい彼は場を和ませみんなを引っ張っていくような存在。ベテランなこともありいろいろと業界についても詳しい。

エキゾチック美女はスッピンももの凄く美女で、

というよりスッピンが既に出来上がっていて、しっかりとした黒眉毛が明るいグリーン目を引き立たせている。

メイクするところがない。イラン美女のレベルは高い。

明るくお転婆な印象の彼女は終始ダンディーにくっついていた。

甘えたなところはやっぱりまだ子供でとても可愛い。

その後帰ってルームメイトたちとリビングでくつろいだり、話したり。

昨夜の騒動はなかったかのようにみんな仲がよかった。

流石海外の人は切り替えが早い。

上半身裸でくつろいでいたマフィア子分は、腕、首以外に背中や胸にもタトゥーが入っていて、日本では絶対にモデルが出来ないタイプ。

話してみると案外明るくて、イライラしてる時に人に当たる性格と言うことが分かった。

キャラの濃い6人で住むってやっぱり大変だな。

 

午後11時。みんなが寝る支度をしている中、侍がワイルドなロングヘアをお団子に束ねながらベッドルームから出てきた。デニムパンツに薄ピンクのシャツを着ていて、彼の褐色の肌とのコントラストが最高に合っている。

私:「どこ行くの?」

今夜のモデルナイトに行くらしい。

私:「1人で行くの???」

不思議に思い彼に聞いた。

侍:「みんなまた明日オーディションなんだよ。おれ人間観察とか好きだから1人で結構行ってるかな。」

相変わらず自由人な彼は、また悪だくみをするような笑顔を向けてくる。

こいつは既に明日のオーディションには行かない気満々だ。

侍:「付いてくる?」

まさかの誘いに驚いたたけど、今日一日何もしなかったし、早く街に慣れたかったから私は彼と行くことにした。

侍に迷惑をかけないようにすぐに支度をし、タクシーを捕まえて後ろの席に乗る私たち。

陽気な彼は、言葉も通じないのにタクシーの運転手ともずっと会話をしようとしていて終始ふざけていた。

気になっていた質問をする私。

私:「モデル、真剣にしてないでしょ?」

彼の行動からなんとなく読み取れた。

侍:「全然。モデルとして生きていく気はないかな。こんな海外に住めること、なかなかないじゃん?

契約中にお金儲けれたらラッキーだし、最悪何も入らなくてもタダで海外に行ける。」

そんなモデルもいるんだな。

だからきっと彼は他のモデルが味わっているようなプレッシャーもなく、オーディションにも行かない日々を送っているのかもしれない。

 

30分程運転し、モデルナイトが開かれているバーに到着。今回は高級な感じでなくカジュアルなバーだった。

誰かの誕生日みたいで一般のお客さんとモデルたちで混雑しているバーは

ラテン系のノリノリな音楽がかかっていて、テーブルに上り踊っている人やボトルから直接ウォッカを飲んでいる人たちもいて、

みんな既にかなり出来上がっていた。

夜中を過ぎたあたりから他事務所の侍の友達らしきブラジル美女たちが合流し、みんなに挨拶をする彼。

美女たちの目的が侍だと言うことはすぐに分かった。

特別なことは何もしてないのに、終始ふざけていて面白いから女を引き寄せるパワーを持っている侍。

何とか彼を酔わせて自分のものにしようとする女たち。

なんて得な性格なんだ。

この美女たちにショットをバンバン飲まされる侍はみるみるうちに酔っぱらっていって、

気付けばリーダー的存在のブラジル美女に

思いっきりチューをされていた。

本当に南米美女は積極的だな。

楽しい時間だけど、知ってる人もそんないない私は途中から椅子に座って休憩。

飲んで踊ってハッチャけている自由気ままな侍を遠目に見て、

同じモデルだけどなんのプレッシャーもなく、今を存分に楽しんでいる彼が正直羨ましい気持ちもあった。

リーダー美女はひと時も侍の傍を離れようとせずそのまま2時間が経過。

朝3時、徐々に人も少なくなり、

侍:「カリナー!そろそろ帰るぞー!」

って呂律の回っていない、かなりハイテンションの酔っ払いがバーの向こう側から叫んできた。

私がタクシーを捕まえている間も、リーダー美女は何とか彼をお持ち返りしようとしていて、

あの子は置いて帰っていいのかを聞くと

無理やりチューされてるんだよって伝えてくる侍。

なかなか放さない美女を振り払って、私たちは半ば強引に車に乗った。

本当にモテるなこいつは。

 

朝3時半…。長かった夜がやっと終わる。

車に座ったからか隣の酔っ払いも落ち着き、一安心して窓の外を見ると、

行きには乗った覚えのない高速になぜか私たちはいた。

高速…??

必死に記憶を巡る私。

……そういえば、ドライバーに住所言ってない気がする。

急いで伝えるために自分の携帯を取り出して私は気付いた。

……そういえば、私はまだ住所を知らない。

完全に聞くのを忘れていた。

今日一日私は一体何をしてたんだ。

まさか空港までドライバーに迎えに来てもらったことがこう裏目に出るとは。

横を見ると既に寝落ちしている侍。

こんな夜中にルームメイトたちが電話に出るとは思えず、

急いで酔っ払いを叩き起こす私。

半分寝ぼけながら、ポケットから携帯を取り出し私に手渡す彼。

しっかりロックがかかっている彼の携帯。

もう一回彼を叩き起こす私。

辛うじてロックを解除する酔っ払い。

この間もメーターを稼ごうと全力で高速を走るローカルドライバー。

一体こいつはどこに向かって走っているんだ。

何とか侍の携帯でアパートの住所を特定する私。

その後身振り手振りでドライバーに無事高速を降りさせ、1時間ほどかかりアパートに到着。

帰れると思ってホッとしたのは束の間、行きの倍の時間と費用がかかってしまった。

ポケットに入っている限られた生活費で支払いを済ませていると、隣で寝ていた酔っ払いがいきなり凄い勢いで外に出て、道路沿いで吐きだした。

言わんこっちゃないって思いながら彼の背中をさすり、侍が吐き終わるのを待つ私。

侍:「大丈夫だ!俺は大丈夫だ!」

吐く合間も終始うるさい侍。

分かった分かったとなだめながら、やっと全て吐き終わったのか、歩き出そうとするんだけど、

ま~一人じゃ歩ける訳もなく、私が彼に肩を貸し、完全に負傷した侍そのものになっていた。

190センチのガタイの良い体を支えるのは想像以上に大変で、

私もバランスを崩しながら、真っすぐ歩きたいのに歩けず

陽気な彼はその間もずっと歌ってるし、

全然仲間入りしたくないのに酔っ払い2人みたいになっていて、

そんな私たちを見て笑うセキュリティーのおじちゃん。

やっとのことでアパートに入ると、部屋が暑いとか何とかで何故かエキゾチック美女がリビングで寝てたんだけど、

歌っている負傷侍がうるさくて起きてしまって、

「俺は酔っぱらっていなーいっ!」

って笑いながら大声で言う酔っ払い。

どの口が言ってるんだって思いながら彼を何とかメンズの部屋に運ぶ私。

とんでもない自由人で、

引っ越し早々私は酔っ払いの世話をすることになった。

イケメンじゃなかったら今頃私は彼をおいて家に帰っている。

…ダメだ、住所分からないから帰れないんだった。

 

新しい街で頑張りたいモチベーション:

★★★★★★★7

ピュア度

★★★★★★★★★★★★★★★★★★18

侍の自由度:

★★★★★★★★8

このストーリーは実話に基づいています。

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