海外モデル契約90日
17日目:キャラ勢揃い
午前11時。
パジャマ姿の美女たちにお別れのハグをし、私は空港へ向かった。
90日間の海外モデル契約が始まり半月でまさかの引っ越しが決まる私。
空港でチェックインを済ませ、スーツケースを預けて、2時間程のフライトで違う都市に到着した。
今回は空港からアパートが遠いらしく、事務所のドライバーが迎えに来てくれて私は感動した。
1時間半ほど運転して着いたアパートは前の所にも増して、ザ・海外チックで建物の前に大きな柵のゲートが閉められていた。
ここも貫禄あるアパートだな…。
到着したのはいいけど、ドライバーは特にその後何も手伝ってくれず
入り方すら分からない私はその場で突っ立っていて、
それを中から見たセキュリティーのおじちゃんがすぐに駆け付けゲートを開けてくれた。
モデルと分かったのか、モデルたちの住む部屋の階をエレベーターで押してくれる彼。
このエレベーターがまた凄くて、古い映画であるような、扉が鉄格子の柵で出来ている。
手動の柵のドアを閉め、不気味な音を立てながら上がっていくエレベーター。
重たいスーツケースをごろごろ転がしながら、事前に事務所に渡された部屋番号を見つけた。
事務所からの情報はかなり適当で、ドライバーが今回いたからか、部屋番号と住所も一部しか書いておらず、それが区なのかストリート名なのかも分からない。
アパートに一歩もまだ踏み込んでいないのに既にいろいろと驚く点が多い。
インターホンを鳴らし、とんだ美女が扉を開けるのを待っていると
ドアを開けたのが上半身裸の男で私は固まった。
アパート間違えたのか?
咄嗟に部屋番号を確認するけど確かに合っている。
私が何も言えずに困っていると
「あれ??モデル?今日新しい子来るんだっけ。」
そう言って戸惑いながらも、部屋に入れてくれる見た目完全にモデルの彼。
ってかなんでメンズモデルはいつも上半身裸なんだ?
そして何で私はメンズアパートにいるんだ?
この彼がまたすごく独特なルックス。
鍛え上げた体、綺麗な褐色の肌をしている。
髭が少しあり、肩まであるロングでかなり天パのダークヘアがだらしなく下ろされていて、ワイルドな見た目。
ラテン系なのかな?
よく分からないなか、廊下を進む逆三角形に付いて行くと、ベッドルームがあった。
「ここがレディースの部屋だよ。」
見せてもらった部屋にはベッドが3つ並んでいる。
「女3、男3の6人でシェアしてる。メンズの部屋はあっち。」
まさかの男女共同アパート。
そして3人部屋…。
事務所は本当に何も事前に言ってくれないんだな。
そのまま私は荷物を置き、とりあえず彼の後をついてアパートを見せてもらった。
キッチンとリビングは今回別れていて、
全体的にレトロ感が漂っている、私がなかなか好きなデザイン。
リビングはソファー、ダイニングテーブル、テレビがあって結構広い。
今回は当たりかもしれないとテンションが上がる私。
「今エアコン壊れててこの部屋暑いんだよね。」
ソファーに寝転びながら言うワイルドな裸男の姿は、まさに美しすぎる原始人だった。
そのまま原始人はくしゃくしゃのロングヘアを頭の高い位置でまとめてお団子を作った。
似合いすぎる。
このヒッピー感というかラストサムライ感がまた半端なくカッコいい。
この髪型似合う奴本当にいるんだな。
私:「他のモデルたちは?」
侍:「みんなオーディションに行ったよ。俺は風邪のフリしてサボってる。」
悪だくみをするような笑顔を向けてくる彼。
侍:「俺33歳なんだよね。」
私:「え!若く見えるね!」
侍:「嘘だよ。」
なんなんだこいつは。
クールタイプだと思ってたけど、私と同い年の侍は意外と話しやすくて、
初対面にも関わらずあちこちにジョークを挟んできた。
コロンビア出身と聞いて、独特なルックスの訳が分かった。
こんなイケメンで見た目とのギャップがあって、面白い。
かなりモテそうだなこいつ。
10分ほど話していると玄関が騒がしくなり、ちょうど他のモデルたちがオーディションから帰ってきて、
一番最初に入ってきた美女が私を見るや否や言った。
美女:「あれ?新しい子?明日って聞いてたけど、今日なの?」
相変わらず事務所は適当。
後ろからぞろぞろと巨人2人ともう一人の美女が入ってきて、
みんなとハグをし、自己紹介を始めた。
みんなかなりレベルの高い美男美女。
メンズ1:Tシャツからはみ出すタトゥーが凄い。両腕びっしり、首にも入っていて、髪はスポーツ刈り、ゼイン似の彼。ポルトガル出身でかなりイカつくて、見た目は完全にマフィア子分。
レディース1:ポーランド出身のベテラン、ブロンドヘア青い目で、ウェストがめちゃくちゃ細くバービー人形みたいな彼女。
メンズ2:アパート内最年長34歳ベテラン、茶髪で顎は髭で覆われていて優しい顔をしたダンディーな見た目の南アフリカ人。
さすがメンズのモデル寿命は長い。
レディース2:最年少20歳イラン美女、グリーンの目にしっかりとした眉毛が特徴的。エキゾチックな顔立ちがめちゃくちゃ綺麗。
そこに送り込まれたアジアミックスの私。
そしてソファーに寝転ぶ侍。
このアパートなんかキャラ濃くないか?
そしてここでもやっぱり私が一番チビ。
メンズはみんな190越えで美女も175近い。
6人集まると広いと感じていたリビングが一気に狭くなった。
さっきの期待を返してほしい。
見ている感じみんな仲はよさそうに見える。
その後、私は同じ部屋の美女たちと荷物を片付けながら話していた。
最年少のエキゾチック美女は片付けが苦手なタイプなのか、
彼女のベッドは服の山が出来ていてスーツケースが開けっ放しで床に置かれていた。
部屋に入ってすぐ、自分の服をたたみもせず全部スーツケースに投げ込んで、ベッドの上に座る彼女。
その横でリアルバービーがこの街のことを説明してくれた。モデル歴が長く、いろいろと頼れそうなお姉さん的存在の彼女。
30分ほど2人と話した後、私が仮眠を取ることを伝えると気を使って部屋を出てくれた。
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キッチンから聞こえてきた声で目が覚める私。
2人の男女が声を張り上げているのが分かる。
何事かと思って見に行くとマフィア子分とリアルバービーが言い合いをしていた。
些細なことから始まったみたいだけど、2人とも頑固でなかなか引かず、エスカレートした様子。
それを止めに入る最年長ダンディーと、隣で笑いながらなだめようとする侍、そして何も言えないエキゾチック美女。
マフィア子分は見た目だけじゃなくてかなり口調もキツくて暴言を吐いている。
何とか落ち着かせて、自分たちの部屋へ戻っていく2人。
夜中、私は仮眠を取ったせいかあまり寝れず、水を飲みにキッチンに行ったら、ちょうどマフィア子分が1人でいた。
さっきの件もあるからか、不機嫌そうで、非常に気まずい空気が流れている。
軽く挨拶をし冷蔵庫を開ける私。
マフィア子分:「俺のもの触るなよ。」
彼が人殺しみたいな目つきで私に言ってきた。
女同士の世界が怖いって聞くけど、
男女共同はもしかしたらもっと荒れているのかもしれない…。
そしてマフィア子分はなかなかの問題児な気がする。
モチベーション:
★★★★★★★★8
ピュア度
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★19
ルームメイトのキャラの強さ:
★★★★★★★★★★★★★★★10
このストーリーは実話に基づいています。
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