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MODEL STORY

タイトルなんてどうでもいい。 6日目 人生初めての気絶か

2020年4月5日

海外モデル契約90日

6日目:人生初めての気絶か

 

朝5時半。

前日のオーディションでモデルが気絶するところを目の当たりにしたのと、海外契約初仕事という緊張で昨夜も私はあまり眠れなかった。

契約開始から6日目、流石にそろそろ疲労が溜まってきている。

1つ慣れたことと言えば、エアコン16度の部屋で時間を過ごすこと。

慣れたと言うよりコツを掴んだ。

寝る時はパジャマの上から、パーカーと日本出国時に羽織って来たジャケットを着て、万が一のために持ってきたヒートテックのレギンスを履いてその上から長ズボンも履いて頭にはフードを被り、同じ部屋のひょろひょろロシア美女の適温に合わせることが出来るようになった。

毎晩繰り広げられていたエアコンのリモコン争奪戦がこうして幕を閉じた。

私たちの部屋には、片方のベッドで綺麗なロシア人モデルが寝ていて、もう片方ではミイラが寝ている。

 

今日のスタジオ入り時間は7時だから、事務所のドライバーが6時に迎えに来た。

朝が早すぎて食欲がない…。現地に到着してのこの数日間、バタバタしていたし日本の調味料とかもなくて食生活が変わっているし、

そのうえキッチンがシェアとなると何かと気を遣ってしまって、食事がおろそかになっているのは確か。

家を出る準備をして、ヘアメイクはしてもらうからスッピンで髪の毛も特に何もせず車に乗り込み、スタジオに向かった。

記念すべき初仕事はECサイトの撮影。

日本でいくつかECサイトのモデルを担当していたから何となくどんなものか想像はついた。

ECサイトの撮影とはオンラインショップウェブサイトのモデルのこと。

基本白基準のシンプルなスタジオでポージングも同じようなものを繰り返す。

新しい服がどんどん入ってくるからECサイトは、撮影も定期的に行われるから仕事としては入ってきやすいけど、ウェブサイト上のみに表示される写真だからそこまで大きい仕事とは言えず、いやらしいことを言うとギャラも少額。

それでも海外契約初仕事ということもあり、わくわくしながらメイクルームに入った。

テーブルと鏡が5つほど並んでいて、後ろには洋服ラックが部屋いっぱいに置いてある。

スタッフに挨拶をし、鏡の前の椅子に座った。

私:「今日、何着ほどありますか?」

いつも通り何気なく聞いた質問だった。

ハンガーにかかっている洋服にアイロンをかけながらスタイリストが答える。

スタイリスト:「そうね~80着ほどかしら~?」

ハチジュッチャク。。。

日本でモデルをしている時には聞いたことない数を言われて、息が止まりそうになる私。

聞き間違えたのかと思ったけどラックにかかっているハンガーの数を見た感じ本当にそれぐらいありそうで恐ろしくなった。

80着をこなすメンタルでまず現場入りしてないし、

信じられなかったけどとりあえず、もしかしたら1着がめちゃくちゃ早いのかもしれない、とポジティブに考えすようにする私。

なんで私は朝何も食べなかったんだ。

1時間程でヘアメイクが終わり、

スタジオ隅に設置された小さい試着室に入り1着目を着る。

またその渡されたズボンがやたらとタイトなもので、履くのも大変。

試着室で1人モデルが洋服と戦っている苦労は外の人間には分からない。

ズボンと言うより、もはやレギンスで

タイト過ぎて全然股下に届いてなくて、布を少しずつ摘まみながら上へ上へずらしていったり、

外に聞こえない様にちっちゃくジャンプしたりして、

やっとのことで1着目が着れて、息切れ気味なんだけど、

何事もなかったかのように颯爽と試着室を出た。

ヘアメイクを軽く直し、カメラ前に立つように指示され、

ライトの調整をするため何枚か試し撮りをするカメラマン。

シャッターを切る度に眩しいフラッシュの光が私の方向に飛ぶ。

カメラマン:「はいじゃぁ始めまーす。」

試し撮りを終えたカメラマンの指示と共に撮影が開始された。

日本での撮影時と変わらずポーズをとる私。

1着目が終わったんだけど、全然早くも何ともなくて、

むしろ時間かかっている方なんじゃないかってぐらいで。

このタイトな服を脱ぐ作業がまた大変で、

これ80回繰り返すのか…って試着室で気が重くなって、

1時間半程続きやっと10着の撮影が終わった。

あと70着…。

朝も食べてないし先が長いし、既に疲労と戦う私。

着替える作業が徐々にしんどくなってくるのと、だんだん体の力が入らくなっているのが分かって、

カメラ前で姿勢よく立つのが苦しくなってくる。

更に1時間半が経過し合計20着が終了。

あと60着…。

終わりが見えない。

日本の場合20着で既に撮影終盤ってことが多いのに、今日はまだ半分も終わっていない。

もう体に血が巡っていないような感覚で、25着目あたりで右手が震えだした。

その間も写真では笑顔を作り、次からと次と着替えが渡され、試着室に入る度に我慢できず数秒屈みこむことを繰り返した。

昨日気絶した新人モデル2人のことを思い出した。

もともと貧血体質の私だから座っている状態から立つ時によくクラっとくるんだけど、

このカメラの前で立っているだけでも徐々に視界が貧血の時の様に黒いモヤモヤに包まれだした。

ヤバい。私の気絶する日が来たのかもしれない。

30着を超えたあたりで我慢できず、初めての現場で気を遣いながらもスタッフに声をかけた。

私:「すみません、お水休憩ください。」

すぐ近くの椅子に座り、一秒でも時間を稼ごうと思いゆっくり水を飲む。

何とか持ち直して、午後2時前、遅めのお昼休憩に入った。

何着終わったんだろ…。途中から数えることもできなくなったけど、たぶんまだ半分は残っている。

既に疲労困憊の中スタジオ横の食堂に辿り着いたんだけど、

現地の人ばっかりだし、メニューも読めないし選ぶ体力もないから

適当にこれ!って指さして、

案の定見たこともないご飯が出てきた。

なんで英語メニューすらないんだー!

もやは味すらも分からないけど、とりあえず何か体に入れないと倒れてしまうと思い無理やり口に詰め込んで、

その後またスタジオに戻り、終わりの見えない仕事と戦った。

夕方頃からずっと

私はロボットだ私はロボットだ、

と唱え続けて淡々と作業を終えていって、

最後の10着で希望の光が見えた。あと1時間半で終われる…。

結局その日は13時間撮影を続け80着全てを無事終わらせ、

夜8時を過ぎ、事務所の車にピックアップしてもらった。

帰りの車の中、既に暗くなった外を見つめ、

初仕事を終えたのはいいけど、

私はこの3ヶ月生き延びていけるのかと不安になった。

こりゃ気絶もするわな…

これを当たり前の様にこなしている他のモデルが凄すぎる。

モデル業って華やかな世界だと思ったんだけどな。

海外モデル契約取れたのはいいけど、そこから駆け上がるのは

私が思った以上に大変な道のりみたいだ。

 

モチベーション

★★2

ピュア度

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★32

疲労

★★★★★★★★★★★★★★★★★★18

このストーリーは実話に基づいています。

前回のお話↓

タイトルなんてどうでもいい。 5日目 気を失う美女たち

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タイトルなんてどうでもいい。 第1話目↓

タイトルなんてどうでもいい。 1日目 美女たちとのご対面

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