ノマドモデル流🦋英語上達法 × 海外で自由に生きる

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MODEL STORY

タイトルなんてどうでもいい。10日目 生きて帰りたい旅

2020年4月9日

海外モデル契約90日

10日目:生きて帰りたい旅

眠い。

とりあえず眠い。

ほぼ徹夜からの日の出と共に撮影を終えた私は、昼過ぎホテルの部屋で抜け殻のように座っていた。

 

*****************

昨日の午後2時、オーディションの待ち時間中にマネージャーから連絡が届いた。

マネージャー:「カリナ明日テストシュートね。前日入りだから、今夜10時出発で。」

テストシュート:

主にフォトグラファーやモデルが、クライアントに見せるための宣材写真を撮ること。

私たちモデルはそれをモデルブック(自分の写真を集めたフォルダー)に入れる。ブランドや企業の宣伝ではないため、お金は発生しない。

お金は出ないんだけど、テストシュートから仕事に繋がることもあって、メリットはいろいろと多くて実はこれが何よりも大事。

だけど無料ということもあって、テストシュートを嫌がるモデルは正直多い。私を含めて…。

 

オーディションが終わり、ルームメイトのモデルたちと車でアパートまで帰っている時に明日の詳細がマネージャーから届いた。

場所:〇〇

移動:車(夜中)

ヘアメイク:朝4時開始

移動:車(夜中)

次の日の朝、帰宅。

おー…待て待て待て。

詳細を読んで焦りを覚えたけど、とりあえず落ち着いて考えようとする私。

今夜出発して車で移動して~、

明日の朝4時から撮影開始です~、

で撮影終わって、夜中車で移動します~、

そのまま次の日の朝帰ってくるってことは…

0泊3日…?

どんなタイムスケジュールだ…。

詳細を読むだけで私のモチベーションがどんどん下がっていくのが分かった。

書かれている場所を地図で調べると車で7時間先…。

遠い…。

飛行機で行けばいいだろって思ったんだけど、テストシュートとなると移動にお金を出してくれるクライアントがいない。

ケチな事務所はきっとコストを下げようとしてるに違いない。

ってか撮影の入り時間4時って

わたしゃ漁師か。

魚でも釣るのか。

持ち物は網か?

車に一緒に乗っていたルームメイトたちに地名を聞いた。

ひょろひょろロシア美女:「あ~リゾート地だね。きっとビーチでの撮影だよ。」

聞いておいてよかった。ビーチとなるときっと水着、水着となるとムダ毛処理。そして今夜は食べない。

日本にいる時に培ったモデルとしてのエチケットなのかルールなのか分からないけど、頭の中にすることリストが瞬時に浮かび上がる。

仕事ならこんな条件でもよし頑張ろう!ってなるけど、正直テストシュートのために7時間かけてリゾート地に行くのは辛い。

もう不満しか出てこないなか、家に帰り0泊3日の旅に向けて軽く荷造りをする私。

とは言っても海外初めてのテストシュート。

こんな状況でもリゾートに行けるって少しワクワクしている自分がいることにも驚いた。

ってか本当に、なんで飛行機移動じゃないんだ。

 

*****************

夜10時、撮影クルーがアパートまでワゴン車で迎えに来た。

ヘアメイクアーティスト、スタイリスト、フォトグラファー、そしてモデルが1人既に車の中に座っていた。

クルーメンバーはみんな若くて、タトゥーとかピアスが入りまくっていて、見た目イケイケな印象。モデル含め、みんな友達みたいでよく一緒に撮影をしているらしい。

挨拶を済ませ、近くのお店で軽食や水を買うクルーメンバー。

フォトグラファー:「じゃあ行こうか。」

運転手がどこからともなく現れるのを待っていたけど、そのままフォトグラファーが運転席に乗り込み、ナビを設定する。

ん…?

運転するのはあなたですか?ドライバーいないの?

到着予定時刻、朝5時半。

ナビが表示する時間を見て更に疑問を抱く私。

撮影入り時間に全然間に合わない…。

フォトグラファー:「俺、運転好きだからさ。しかも俺だったらこんな時間かかんないし。」

嫌な予感がするのは私だけなのか…?

そのまま車を走り出した彼。とりあえず朝の撮影に向けて少しでも寝ないと、と思い体勢を整える私。

そのまま私たちは高速に乗った。

10分程して、体に違和感を覚え、私の嫌な予感が的中した。

運転席のメーターを見ると針が見たこともない数字を指していた。

時速150キロ…。

自分の目を疑って何回か見直した。

150キロの車に乗ったことあるか分からないけど、ないと答えてほしいが、

車が浮いているというか飛んでいるというか、自分の体がそのスピードに完全に追い付いていっていないのが分かる。

飛行機に乗っている時の、前に進む力で体が少し後ろに押される感覚に近い。

飛行機に似たような感覚が味わえるんだったら、私が望んでいた飛行機移動と一緒じゃないかって考えて、

いやそんな陽気なことを考えている場合じゃないって思って、

ワゴン車の1番後ろの席に座っているイケイケクルーメンバーは、

お前また今日も飛ばすね~あはは

みたいなノリだけど、いや笑いごとじゃありませんよ、って考えているのは私1人だけみたいで。

ナビは時速150キロを想定して到着時刻を表示していないから、そりゃ表示時刻よりも早く着くわな。

フォトグラファー:「みんな寝といていいからねー!」

お前の運転で寝れるかー!って考えながら、

夜中2時頃から隣のモデルが限界に達したのか寝だしたんだけど、車が速すぎて高速のスピードクッションに差し掛かった時に、私の肩にバンバン彼女の頭がバウンドしてるし、

結局私は30分ほどしか寝れず、恐怖と戦いながら何とか無事にリゾート地に到着して、ホテルの部屋にみんなで荷物を置きに行った。

もちろん一部屋。キングサイズのベッドが真ん中にある、とても綺麗な部屋なんだけど、それを5人でシェア、というかただの荷物置き場と準備をするためのスペース。

私が日の出と共に撮影、そしてもう1人のモデルはナイトシュート担当らしい。

午前3時半。

ヘアメイクアーティスト:「先に始めちゃおうか。」

まだ外は暗いうちにヘアメイクを開始して、隣ではもう1人のモデルとスタイリストがキングサイズのベッドをシェアして仮眠を取っていて、私は羨ましくて仕方がなかった。

ヘアメイクが終わり、外が明るくならないうちに急いで渡された水着に着替えるんだけど、

ワンピースビキニってやつでぺらぺらの布に長いひもが6本ほど付いたのを渡されて、どの布が体のどの部分にあたるのか、頭はどこから出すのかがさっぱり分からず、

もう布に包まれているって言うよりも大事な部分にだけ布をあててるみたいになってて、背中は紐しかないし、服という本来の意味を全くなしていない。

10分近くあーでもないこーでもないって焦りながら1人トイレで苦戦していると

女性のヘアメイクアーティストが外から「大丈夫~?手伝おうか~?」って確認してくれて、

大丈夫ではないんですけど、今入ってきて頂いても私スッポンポンの状態で、って考えながら私は

「大丈夫です~!」って外に叫んだ。

で、やっとのことで布が水着という形に変わって

トイレから出て「着方これで合ってます?」って確認したら

「あ~腕はきっとこっちだね~。凄いね、そういう着方もできるんだね」って謎に感心されて、

また1人トイレに戻ってあーでもないこーでもないを繰り返して何とか着替えを終えた。

で、急いでクルーメンバーとホテルすぐ横のビーチに行って、日の出と共に撮影を開始したんだけど、

またその海の水がクソ冷たくて、布も少ないから直に水を当たって震えながらのセクシー撮影を数時間続けて、2着目着替えてまたトイレで苦戦してを繰り返してやっと昼過ぎ。

 

眠い。

とりあえず眠い。

昼過ぎホテルの部屋で抜け殻のように座っていた。他のクルーメンバーが隣で夜の撮影の準備をしている。

髪の毛先が濡れているけど、乾かす気力もなくて、徹夜からのこの冷たいビーチ撮影を終えて私はぐったりしていた。

午前中に仮眠をとったもう1人のモデルはリゾートホテル周辺を散歩しに出かけていた。

昨夜クルーメンバーが買った軽食を口に詰め込み、濡れた髪が枕を濡らさない様にタオルを敷いて、キングサイズのベッドに横になった。

お~気持ちいいいいいい。

流石リゾートホテルのベッドはふかふかで心地良くて、私の疲れていた体がマットレスに沈み込んでいった。

撮影クルーがベッドの周りでガサゴソしてるけど、もうそんなことはどうでもいい。

3分程するとイケイケフォトグラファーが私の隣に入ってきた。

フォトグラファー:「俺もちょっと寝るわ!」

彼の行動で一気に眠気が覚め、天井を眺める私。

カップルかよ。

ベッドがデカくてシェアできるねって、

そういう問題じゃないだろー!

頑張って15分ほど耐えてみたけど、結局私の気が休まることはなくその後1人ふらふらとリゾートホテルの外を散歩してる時に

ベンチを見つけて顔が直射日光に当たらない様に横になって目を閉じた。

ここが一番落ち着くわ。

*****************

午後、我慢できずマネージャーに電話を入れた。

私:「飛行機で帰らせてください。フォトグラファーも疲れている中、夜中運転して帰るのは危なすぎます。」

マネージャー:「大丈夫よ。彼は腕の良いフォトグラファーだから。」

フォトグラファーとしての腕と運転の腕は比例しないはず。

よく分からない答えが返ってきて、マネージャーと戦うことは無駄だとようやく気付いた。

それでも諦めず彼の運転の怖さを電話越しに必死に伝える私。

マネージャー:「分かったわ。彼に一言伝えておくわ。」

私の口からもドライバーの気を悪くしない程度に、ゆっくりめに行ってもらうようにお願いした。

もう1人のモデルが無事ナイトシュートを終えたみたいで、夜帰る支度を始める私たち。

次の日の朝に仕事があるフォトグラファーは、日の出と共に始まった過酷なビーチ撮影の後、また7時間運転しないといけない。

出発前にフォトグラファーが張り切って一言いった。

フォトグラファー:「よし!明日の仕事に間に合うように今夜も急ぐぞー!」

ポンコツとはこういうことか?

私に今できることは神頼みしかないって思って、特に宗教に入っているわけでもないのにこういう時だけ都合よく、どこにいるかも分からない神様に頼み込んだ。

どうか生きて帰れますように。

 

モチベーション

★1

ピュア度

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★26

事務所への不満

★★2

神頼み度

★★★★★★★★★★★★★★★15

このストーリーは実話に基づいています。

前回のお話↓

タイトルなんてどうでもいい。 9日目 鬼の契約システム

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タイトルなんてどうでもいい。第一話目↓

【モデル界裏話ストーリー】「タイトルなんてどうでもいい。」1日目 美女たちとのご対面

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